オステオパシー

心臓の脳のコミュニケーション【心臓の健康を保ち、感情と思考をコントロールする】

お知らせ

心臓は内臓の中で最初にその働きを始め、最後の瞬間までその拍動を続ける「生命そのもの」とも言える臓器です。主な働きは血液を全身に送るポンプであり、個人差はあるもののその拍動の数は1日に約10万回、一生涯を通すと40億回以上にも及びます。

またその字のごとく「心」の動きと密接に関わります。オステオパシーで体を診た時、マイナスな思考にさいなまれている方は、総じて心臓周囲の筋膜(心膜)を中心に胸部が硬くなっていて、反対に思考に柔軟性があり心が開いていると感じられる方の胸部は柔らかい傾向にあります。心理的な心の柔軟性と、身体的な心臓の柔軟性は相互関係にあり、心臓は感情や思考をコントロールする上でも重要な内臓であると考えられます。

今回の記事では特に心臓と脳の関係に焦点を当て、身体的な側面・心理的な側面・生活面から心臓の健康を考えていきたいと思います。

心臓と心【感情のセンサーとしての働き】

嬉しいことがあると心が躍り、優しさを感じると心温まり、辛いことがあると心が痛むように、心臓は人間が感じる様々な情を受け取っています。言葉としてだけではく、緊張や興奮は実際の心拍数を増し、心を落ち着かせると心拍数や血圧が安定していくことを自分自身で感じることができます。心臓は人の心理面を反映する感情のセンサーのように働いてます。これは自律神経系である交感神経と副交感神経(迷走神経)の働きによるものですが、心臓の働きと人の心・感情が密接に関わっているなによりの証拠です。

心臓と脳のつながり

人の心に関して、まだまだ分かっていないこと多いです。人の感情や思考がどこから生まれるのか。脳科学ではその答えは脳にあると考えられてきましたが、古代のあらゆる文明では、脳よりもむしろ心臓を重要としていました。紀元前のエジプトでは知性は心臓に宿ると信じられ、人の死後にも残され崇められていたと言われています。古典的なヨガでは、思考をコントロールするために「ハートを開く」ということに焦点を当てます。

今では心臓を重要としてきた先人達の感覚が正しかったことが証明されています。 心臓と脳とは神経系(迷走神経)でつながり相互にコミュニケーションを取っていること。脳から心臓への神経信号よりも、心臓から脳への信号の方が多いことが解明されています。つまり、感情などの様々な情報を主に感じているのは心臓で、それを脳へ伝えているということです。また、思考するのは人の頭(脳)だけではなく、心臓にも知性があり、心臓自体が「考えている」とも言われ始めています。

心臓の健康を保ち、感情と思考をコントロールする

人の思考は一日に約7万回。そして、そのほとんどはネガティブな思考であると言われています。このことを知った時、愕然とすると共に妙に納得したことを覚えています。しかし脳に刻まれたトラウマや嫌な記憶、日々のストレスを感じることよりも、素敵な思い出を想いだすことや前向きな思考になる回数が多ければ、それはより幸せであると言えると思います。
心臓の医学的な重要性に関しては言うまでもありませんが、感情と思考をコントロールするという意味においても心臓の健康を保つことは大切です。心臓に病気を持つ人だけではなく、全ての人にとって意義があります。心臓の健康に関して、身体的な側面・生活面・心理的な側面から考えてみました。

身体的な側面から

呼吸と胸部の柔軟性

心臓が正常に働くための酸素の量は、体の器官の中で2番目に多い(1番は脳)。心臓の筋肉へ酸素を運ぶ冠状動脈はコレステロール過多、喫煙、アルコールの常飲、高血圧、精神的ストレスによって梗塞リスクが増すとされています。

心臓が位置するスペース(縦郭と言います)は左右の肺に挟まれた狭い空間で、その中に心臓、大血管、気管が収まっています。そのため心臓が十分に働くためには胸部の柔軟性が必要不可欠で、胸部を動かす体操やストレッチをすることが有効です。過去の記事て紹介している体操も呼吸を深くし、胸部の柔軟性を高める効果があり、心臓の健康を増進することに適しています。

有酸素運動を段階的に

運動には2種類、有酸素運動と無酸素運動がある。無酸素運動とは名前の通り酸素を使わなくても行える筋力トレーニングや短距離走など短い時間で負荷が大きい運動を指します。心臓に適しているのは有酸素運動で、ウォーキング、ランニング、サイクリング、プールなど長い時間で負荷量が比較的少ない運動です。心臓は大きな変化を嫌う臓器で、急激な運動は適していません。普段運動の習慣がないのであれば、最初はウォーキングから始め、その距離を伸ばし、次いでランニング、プールはその後に始めるなど段階を踏んでいくことが良いと思います。
心臓は心筋という筋肉でできていて、他の筋肉と同じように使えば鍛えられ、使わなければ衰えます。心臓の筋肉を鍛えるという意味においても長く細く運動を続けることは大切です。

生活面から

・禁煙する。
・休肝日を作る。

・塩分の摂取量に注意する(塩分は高血圧のリスク因子であるため)。加工塩(精製塩)に比べて、天然塩は塩化ナトリウムの成分量が少ないためお勧め(こちらで記事にいています)。生クリームやアイスクリーム、炭酸飲料にも実はナトリウムが多く含まれているために注意が必要。

・大きな変化は出来るだけ避ける。気温、気圧などの急激な変化では心臓に負担がかかる(例えばヒートショック)ため、屋内外の温度変化の大きい夏や冬は特に注意(屋外に出る時には暖房や冷房を切って、体を慣れさせてから出かけるなど工夫することが出来る)他にも、食後すぐに運動や勉強をすることは、胃腸や心臓を司る迷走神経を混乱させる。心臓には適応時間が必要。

心理的な側面から

簡単なことではありませんが、可能な限り精神的なストレスを減らし生活することが一番。不安、恐れ、怒り、マイナスな思考は自律神経系を通して心臓に負担をかける。ストレスを発散する手段を持っていることは素晴らしいことで、音楽を聴く・奏でる、リラクゼーション、ヨガ、ストレッチなどは副交感神経(迷走神経)を整える効果があります。また内省や自己観察が出来ることは大切で、自分の心が緊張している状態に気付く事が出来れば、自分を守ることや環境を変えるといった対応をすることが出来ます(常日頃から強い緊張状態にある方は、自分が緊張していることに気付きずらいようです)

私の知る限りでは、心理的な側面からの心臓の健康を考えた時に最も優れた方法は瞑想です。瞑想を続けていると、自分を観る(内省する)力が強くなり、物事を様々な視点で捉えられるようになっていきます。見ている視点が変わると、今まで強いストレスと感じていた事柄が、良し悪しのないフラットな事象として感じられます。瞑想に関しては過去に記事にしていますので、ぜひ読んでみて下さい。

オステオパシー 心臓への施術

オステオパシーで行う心臓への施術は、心臓自体というよりも、その周りにある筋膜組織(心膜)に働きかけ、心臓の柔軟性や働きを高める優しい手技です。内臓に働きかける時にでも「触れている」ほどの力で施術していくため安心して受けて頂けます。また心臓が十分に働くためには、心臓を囲っている胸郭(肋骨などの骨格)の柔軟性が大切であるため、肋骨や背骨の関節一つ一つを診ていきます。

特に心臓へ施術をすると「心も軽くなった」との感想を頂くことが多く、心と体のつながりを強く感じる施術部位です。身体的な症状にお悩みの方だけではなく、精神的なストレスを強く感じている方にもオステオパシーは効果が期待できます。

他の内臓に関してのケア方法も内臓ごとに記事にしています。

この記事を書いた施術者

 

関屋オステオパシー 代表 
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
案内動画はこちら

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施術者紹介

関屋淳

2011年より、理学療法士として総合病院に5年間勤務。その後、5年間訪問看護ステーションに勤務し、延べ10000回以上のリハビリを実施しています。その間、オステオパシーの施術を2000回以上実施しています。

『自分と患者さん両方の体と心を豊かに。そして、その豊かさが周囲の人たちに拡がっていくように』そのような施術を目指しています。

⇒ 詳しいプロフィールはこちら

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