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目次
はじめに
体の中にある全ての器官(関節・筋肉・内臓・血管系、リンパ系など)には、常に微細な動きがあり、流れ続けています。オステオパシーの施術者は、その微細な動きや流れ、体の変化を感じ取る手の感覚を非常に大切にしています。施術中には、手から得られる情報と、体の基礎となる解剖学・生理学・病理学の知識を合わせて、その方の体の状態を考察するという事を常に行っています。
一見、触れているだけのようにも見えるオステオパシーの施術で、施術者は体の何を感じ、診ているのか?オステオパシーの触診で診ている体の世界をご紹介したいと思います。
オステオパシーの触診で何を診ているのか?
筋膜の動きや流れ
オステオパシーで特徴的な体の診方として、全身を覆う筋膜の伝わりから身体の状態を読み取っていく「傾聴」という検査の方法があります。(※オステオパシーで考える筋膜は、単に筋肉だけを覆うわけではなく、全ての器官を個別に覆い、またそれらを一つに繋げている膜組織:ファシアの事を指しています)
具体的には、頭や脚、腹部に軽く手の平で触れ、何かしらの問題が生じて筋膜が集約しているポイントや癒着、施術するべき体の部位を探していきます。
☆筋膜に関してはこちらの記事でまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
関節の可動性
オステオパシーでは、関節の屈伸運動のようなダイナミックな動きに加えて、より細かい関節の動きにも目を向けています。微細にその関節を動かした時、周囲の靭帯や筋肉、筋膜とのバランスや整合性がどうなっているか?という事を診ていきます。
また股関節や肩関節などの大きな関節だけではなく、手部や足部の小さい関節の動きの悪さが全身に強い影響を与えている事も多々あるので、オステオパシーでは頭からつま先まで全身の関節に動きがある事を大切にしています。
体液の流れ(血液・リンパ・脳脊髄液)
体の中に流れている体液(血液・リンパ・脳脊髄液)には、酸素や栄養分だけではなく、白血球やホルモン、出血を止める血小板、免疫に関わる物質など、人体がウイルスや細菌に抵抗し、環境の変化に対応して体の状態を一定に保つための様々な物質が含まれています。体液の循環は、「生命力」の現れと言っても過言ではないと思います。
体液の循環を滞らせている体の歪みや硬さ、緊張を傾聴により探し出し、その部位を解放し、そして身体中にくまなく体液が巡るようにする事がオステオパシーの大きな役割の一つです。
内臓の状態
肝臓、胃、膵臓、腎臓、心臓など全ての内臓には、それぞれ特徴ある動きがあり、その動きを感じ取る事で各内臓の状態を把握する事ができます。内臓は、その他の器官に比べて負担がかかりやすい所でもあるので、緊張や歪み、委縮、冷え、疲弊している感じなど感じ取れる情報が多くあります。
脳脊髄液の波動【一次呼吸(第一次呼吸メカニズム)】
※「呼吸」という名称がついていますが、一般的な呼吸(肺呼吸)とは異なるものです。脳脊髄液の循環により体全体に起こるリズミカルな動きの事を『一次呼吸』と呼びます。
オステオパシーにおける2つの呼吸メカニズム
- 第一次呼吸メカニズム(一次呼吸) = 脳脊髄液の波動
- 第二次呼吸メカニズム = 肺呼吸
オステオパシーと他の徒手療法との大きな違いの一つは、「脳脊髄液」の流れに着眼している点だと思います。名称の通り、中枢神経系(脳・脊髄)を栄養し発達させる、生命活動を支える重要な体液です。
脳の中にある「脳室」と言われる空間で作られた脳脊髄液は、脊髄を通り、腕や脚にある神経の一本一本を栄養し、再び脳内に戻り吸収されるように循環していると言われています(未だ、脳脊髄液の循環は完全には解明されていません)一次呼吸の動きは「膨張と収縮」と表現され、体が「横に開いたり、閉じたり」「縦に伸びたり、縮んだり」というような小さな動きで、体のあらゆる箇所に手で触れる事で感じ取る事ができます。
本来、規則的で一定のリズ厶で起きている一次呼吸ですが、大きな外傷や精神的な強いトラウマの体験、出生時の問題(バーストラウマ)など様々な要因で、一次呼吸に動きの減弱やリズムの不調和を引き起こす可能性があり、一次呼吸に問題がある事が要因となって体の不調が起きている事は決して珍しい事ではありません。
特に出生において、臍の尾が首に巻きついていたり、仮死状態での出生であったり、頭部に強い圧がかかる分娩(鉗子分娩や吸引分娩)であった事で、一次呼吸に著しい制限が作られてしまった場合、その後、生涯における健康面でのハンディを負う可能性があります。。そのため、一次呼吸を正常なリズムに取り戻す新生児や乳幼児に対するオステオパシーは、熱心に取り組まれている分野の一つです。
直観的な感覚
直観は、施術を受ける方と施術者、二人の関係性の上で生じる不思議な力だと思います。伝説のオステオパスと呼ばれているロバート・フルフォード博士は『数え切れないほど多くのケースで、わたしは直観が大いに役立っていたことを痛感してきた。事実、直観はわたしがかくも多くの原因不明の病気を治すことができたことの、おもな理由である』と述べています。オステオパシーでは、直観を大切にしています。
手の感覚には限りがない
過去の偉大なオステオパスはこのような言葉を残しています。
「患者さんの体に触れた時、その組織が何故そのような状態になっているのか。物理的な外傷(事故など)が要因なのか、心理的なストレスか、過去のトラウマが関係しているのか、それとも他の要因が関係しているのか。手を通して感じとり、感じ取った上で施術しなければならない」
手で感じ取れる触診の感覚には限りがなく、高めていく事が出来ます。量子力学的に考えて、感じ取ることが出来る体の情報領域が広がれば、それだけ施術の効果が高くなるので、施術者として「感覚」を高める事に常に注力していく必要があると思っています。また私にとってですが、その点において瞑想が大きな役割を果たしていると感じています。
※オステオパシーに関してはこちらの記事でまとめています。
この記事を書いた施術者
関屋オステオパシー 代表
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
案内動画はこちら
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