オステオパシー

筋膜による血液循環(横隔膜、骨盤底筋など)

   

お知らせ

はじめに

オステオパシーでは、血液を含む体液の循環を大切にして人の体を診ています。体液が豊かに流れている方は、オステオパシーによる施術に、体が良く反応し、症状の改善が早い傾向にあります。反対に、回復に時間がかかる方は、総じて血液の流れが弱く、乏しい印象を受けます。

体液とは・・・血液、リンパ液、脳脊髄液など、体の中にある全ての液体のこと

オステオパシーの創始者A・T・スティルは、オステオパシーを単なる手技療法ではなく、一つの哲学(考え方)として捉えていたので、矯正技術よりもオステオパシーを施す上での考え方を述べた言葉を多く残しています。その記述の中で、血液の事を体に内在する医師と呼び、重要視していました。様々な症状を改善するための、一つの大きな鍵となる『血液の流れ』について、A・T・スティルが残した言葉を引用しながら、考えてみたいと思います。

A・T・スティルの言葉

アンドリュー・テイラー・スティル(1828-1917年)

「身体を作るのも治すのも血液である」

「血液は身体を作ろうとする性質を持っている」

解剖学の本を開いてみると、動脈が体全身に張り巡らされていることを見ることができます。動脈は、酸素と栄養に富む血液を体の隅々にまで送り届け、あらゆる器官(筋肉、筋膜、骨、臓器、血管、脳、神経など)が働くための活力を与えています。反対に、動脈の流れが不十分な器官では、活力が乏しいがために、正常な機能を発揮する事が出来なくなります。

「血液には薬になる天然の物質が含まれている」

「身体を治しているのは血液である。血液の中には出血を止めたり、外部から入った毒素を死滅させたり、身体を補修したり、余分に出来た繊維を溶かす物質も含まれている。この血液を身体中にくまなく巡らせるようにし、身体が自分を治すように仕向ける事をするのがオステオパシーの仕事である」

動脈が運ぶのは、酸素や栄養分だけではなく、白血球やホルモン、出血を止める血小板、免疫に関わる物質を、必要としている体の部位に適切に送り届けています。この動脈の働きがあるからこそ、ウイルスや細菌から体を護り、環境の変化に対応して体の状態を一定に保つことができます。

「全ての血液は、いかなる時も全ての部分から部分、全ての器官から器官へと流れていかなければならない」

「オステオパシーは筋骨格構造をバランスよく整列させ、神経の圧迫を取り去り、内在する医師である血液を体の隅々に行き渡らせることによって、体が自ら治すようにしむけているのである」

酸素や栄養分、免疫系やホルモンを調整する様々な物質が含まれた血液を、体の隅々まで行き渡らせるようにする事が、オステオパシーの施術の目的の一つになります。

血液循環に関わる筋膜『隔膜』

質の良い呼吸をする意義~横隔膜のトレーニング~でも記載したように、横隔膜の働きは血液が豊かに流れるために、大きな役割を担っています。オステオパシーでは、横隔膜と同じく体液の流れに関わり、体を横断するように、横方向に走る筋膜を『隔膜(かくまく)』と呼んでいます。
隔膜が正常に働いていれば、体液が全身を淀みなく流れることを助けてくれますが、反対に隔膜に緊張や歪みがあると、その中を通る血管や神経、リンパが圧迫され、体の治癒や回復を遅らせる原因となります。体液の流れに直結し、調整する機会が多い隔膜は7つあり、隔膜の歪みを取り除き、適度な柔らかさを持たせるように施術を行っていきます。

骨盤底筋

骨盤隔膜とも呼ばれます。骨盤内の内臓(膀胱、子宮、前立腺、大腸など)を下から支え、脚への循環に大きく関わる所です。臨床的に、出産を経験されている方や高齢の女性の方のほとんどに、骨盤底筋の緊張や歪みが見られ、脚のむくみ、腰痛や尿漏れ、膝の痛みの原因になっていることが多々あります。

胸膜上膜(きょうまくじょうまく)  

胸と首の境目で、肋骨の上面を覆っている筋膜です。精神的に緊張しやすい方、円背姿勢や肩をすくめる姿勢をしている方に、胸膜上膜の硬さが見られる事が多いです。この筋膜の中を腕や頭に伝わっていく脈管系が通るので、胸膜上膜の緊張は循環不良による腕のしびれや頭痛の原因となることがあります。

横隔膜

横隔膜の中を大動脈、大静脈、大腰筋など、人間の体の中でも主要となる大きな構造が通っているので、歪みなく、適度な柔らかさを保つことが健康上、とても大切になりますが、横隔膜は周りにある肝臓、胃、心臓と筋膜で繋がりがあり、それぞれの影響を受けて歪みが作られやすい場所でもあります。また、股関節に関わる大腰筋という筋肉とも繋りがあるので、脚の状態も横隔膜に影響を与えています。

股関節、膝関節、足関節

関節の周りを神経、血管、リンパが通っています。捻じれや圧迫を受けたホースが、勢いよく水を出すことが出来ないのと同じように、関節に捻じれや硬さが生じていると、神経の伝達や血液・リンパの正常な循環が妨げられることになります。
下半身の関節である股関節、膝関節、足関節を適切な位置に調整することは、重力によって下半身に滞っていた血液・リンパが心臓へ戻る事を促し、結果として全身への体液循環を助けることになります。

小脳テント

小脳テントとは、頭蓋骨の中で小脳と大脳の後頭葉を隔てるように存在している硬膜の一部で、臨床上とても重要な筋膜です。慢性的な症状では、小脳テントが上手く働いていない事がほとんどなので、施術する機会が多い筋膜でもあります。
*オステオパシーの施術は、頭蓋骨の中の筋膜に触れていく際にも、力ではなく意識を使うように施術していくので、穏やかな圧力で行います。

気血同源(きけつどうげん)

気血同源とは、血流と気(体の内と外にあるエネルギー)には繋がりがあり、お互いに影響し合うという東洋医学の考え方です。西洋発祥のオステオパシーと東洋医学は相容れない関係にあると思われるかもしれませんが、東洋医学には長い経験と歴史があり、人の体を診る上で決して無視できるものではないと考えています。
当院で使用しているオステオパシーの手技、バイオダイナミクスでは東洋医学の思想である経絡も体の一部として考え、解剖学との関係を考慮して施術していきます。

  • 当院では、針は使用しません。徒手的に経絡に働きかけていきます。

おわりに『血液の種』

「自然の中に土地があって、その中に川が流れている。川によって様々な種がそれぞれの所に運ばれる。そして、健康を保つためにその栄養を供給している。これをA・T・スティルは血液の種と呼んでいた」

これはイギリスの著名なオステオパシー施術者である、レンゾー・モリナーリからセミナーの中で聞いた言葉です。
A・T・スティルは、人間の体も自然界の一部だと考えていました。人間の体と血液の流れを「植物の種が川の水流にのり、様々な場所に運ばれて子孫を繁栄させていくこと」に例えたこの言葉は、オステオパシーが『自然医学』である事を、正に表現していると思います。私が好きな言葉の一つなので、最後にご紹介させて頂きました。

この記事を書いた施術者

 

関屋オステオパシー 代表 
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
案内動画はこちら

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施術者紹介

関屋淳

2011年より、理学療法士として総合病院に5年間勤務。その後、5年間訪問看護ステーションに勤務し、延べ10000回以上のリハビリを実施しています。その間、オステオパシーの施術を2000回以上実施しています。

『自分と患者さん両方の体と心を豊かに。そして、その豊かさが周囲の人たちに拡がっていくように』そのような施術を目指しています。

⇒ 詳しいプロフィールはこちら

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