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目次
はじめに
肝臓の重さは約1.5㎏。身体の中で脳に次いで2番目の質量があり、最大の内臓器です。病気が進行しないと症状を感じにくい事から「沈黙の臓器」とも呼ばれていますが、臨床の中では肝臓に負担がかかっているために、疲れやすさ、アレルギー症状、消化不良、関節痛など様々な不調が起きている事が度々見られます。
肝臓が持つ働きとして、アルコールを分解する事が一般に知られていますが、それ以外にも肝臓には多様な役割があり、その働きの多さのために負担がかかりやすい臓器とも言えます。春や秋の季節の代わり目は、身体の解毒(デトックス)が活発になり、肝臓には特に負担がかかる時期です。次の季節を良い身体の状態で迎えるために、肝臓が持つ役割から食生活やケアの方法を考えてみました。
肝臓に負担がかかる事で起こりうる症状
肝臓に負担がかかり、疲弊している時に体に現れる可能性がある症状です。
- アレルギー症状(鼻炎、副鼻腔炎、湿疹、花粉症、光線過敏症状など)
身体の解毒が行えなくなると、免疫系に問題が生じる事があります。 - 寝ても疲れがとれない。常に疲労感がある。眠りが深い。
肝臓はエネルギーを貯蔵庫なので、疲れ易くなります。 - 匂いに敏感になる。(香水やタバコなど)
- 貧血
肝臓は、関節的に血液の産生と活性化に関わっています(赤血球を作る葉酸やビタミンB12、鉄分の貯蔵) - 消化不良、腹部が張った感じがする(膨隆感)
腸の循環不良が起こり、消化の働きが低下します。 - 右肩の関節痛、右肩こり、右側の頸部痛み
肝臓と神経のつながりのために右側に症状が起こります。 - 体温が上がり、大量に汗をかく。
肝臓の様々な働きとケアの方法(負担の少ない生活)
肝臓には実に多様な役割がありますが、その中でも大きな役割は3つになります。
- 解毒作用(デトックス)
- 代謝作用(タンパク質、糖、脂肪)
- 胆汁の産生
この3つの働きからケアの方法を考えてみました。
※それ以外にも、血圧の調整、免疫、血液の生成、貯蔵(ビタミンやミネラル)に一部関わっています。
解毒作用(デトックス)の観点から
解毒作用とは、生活の中で体の中に摂り入れた有害な物質を、毒性の低いものに変える役割の事を指します。アルコール飲料を飲み過ぎると肝臓に悪いということは一般的に知られていると思います。肝臓で解毒される有害な物質は、アルコール以外にも乳酸や人工化学物質、薬剤などが考えられます。そのため、アルコールを多飲する、薬やサプリメントを必要以上に多用する、食品添加物の多い食生活をしている、黄砂やPM0.5(0.1)の多い環境なども肝臓への負担となる事が考えられます。
多くの薬を服用しているならば、主治医に一度服薬状況を相談することを勧めます。特にホルモンに関わる薬を常用している場合、肝臓は常に疲弊し、食べ物によって消化不良を起こします。スーパーで買い物をする時には食品表示を見ることを習慣にしましょう。今まで気にせずに買い物をしていた人は、普段食べていた食品の中にどれだけ自分の知らない化学薬品が使われているのかに驚くかもしれません。(自然食品のお店で購入したからといって、いわゆるオーガニックに配慮されているとは限らないので食品表示を確認してみて下さい)
身体に人工化学物質が入る経路は主に3つ、経口(口から)、経気道(空気から)、経皮(皮膚から)が考えられてます。この中でも「経皮毒」(生活の中で使われる人工的な製品を通じて、皮膚から化学物質が吸収されるこ)という言葉が近年使われるようになってきました。生活場面を改めて見てみると身の周りには人工の化学物質が溢れているので、身体が持つ解毒(デトックス)能力を超え、肝臓が疲弊しやすい環境にあると言えます。
肝臓の解毒作用を助ける尿と汗
体の中の毒素を排出し、肝臓の解毒作用を助けるという意味で、汗をかく程度の運動を日課にすることはとても大切です。もしくは、半身浴を習慣にすることやサウナを積極的に活用することでも発汗を促すことが出来ます。
また水分を適切に取ることも肝臓の健康のためには大切です。基本的には少量を小まめに飲み、アルコールを飲む時や運動量が多い時には量を増やして、排尿を促します。
代謝作用(タンパク質、糖、脂肪)の観点から
タンパク質や脂肪など食事から摂った栄養を体が使える形に変える働きを「代謝」と言います。肝臓の代謝を考えた時、特に食生活から影響を受ける事が考えられます。化学的な工程が多い食品を取ると、必要以上に代謝する事が必要になり、肝臓に負担がかかるので、なるべく化学的な工程が少ない自然の形に近い食品を摂る事が肝臓のケアになります。
また肝臓では、体のエネルギー源となる糖を蓄え、必要に応じて血液中に流しています。それと同時に、運動後に作られる乳酸を解毒するのも肝臓です。24時間絶食しただけでも、肝臓に蓄えられている糖は消費されてしまうと言われています。そのため過負荷な運動を日常的に行っているなら、代謝や糖新生の能力によりますが、肝臓に負担がかかる場合があります。
※糖新生とは、新しい糖を作り出す肝臓と腎臓が持っている働き
胆汁(たんじゅう)産生の観点から
肝臓で作られる胆汁(たんじゅう)という消化液は、「脂肪」を消化する事を助けます。そのため脂肪分の多い食生活を送っているのなら、体が多くの胆汁を作らなければならない状況に置かれ、結果的に肝臓に負担がかかることになります。
胆汁(たんじゅう)産生の観点から、肝臓の健康のためにほどほどに摂取すべき食品は以下になります。(参考文献「体からのシグナル」)
時には美味しいお酒とそれに合う食事も楽しみながら、肝臓への配慮も忘れずに。
・アルコール(ワイン、シャンパン、ビール)
・豚肉の脂身
・揚げ物(揚げ物は全ての人にとって”ほどほどに”)
・チーズ
・クリーム。特に加熱調理したもの。
胃腸の感覚に耳を傾ける
以上のように肝臓の健康を保つためのケアを考えた時、どのように「食事」と向き合うかが一つの要点になります。そこで大切になるのは胃腸が訴えている感覚だと思っています。現代は、飽食かつ食品添加物などの化学物質を多く取り入れている影響で、内臓の訴えに対する感覚が鈍くなっていると言われています。
知人から聞いた話ですが、アフリカの奥地、原住民が住む土地で添加物もない携帯もないような超自然な環境でしばらく生活していた後、日本での食生活に戻したら「違和感」が強すぎて何も食べる気がおきなかったそうです。
胃腸の感覚に耳を傾けてみると、体は必ずサインを出しています。体に合った食生活は身体を軽くし、心にゆとりを与えます。体に合っていなければ反対のことが起こります。(食べ過ぎた、飲み過ぎた翌日には体が重いだけでなく、気分も塞ぎ込みがちになるのではないでしょうか。)自分の感覚を大切にして食生活を送ってみて下さい。
肝臓と痛みの症状【腰痛・頸部痛(肩こり)・肩関節周囲炎】
肝臓と、腰痛や頸部痛など痛みの症状は一見関係しないように思われますが、筋膜のつながり、神経とのつながりを考えると肝臓ー腰部、肝臓ー右の頸部や肩甲骨周りの筋肉には強い関連があります。
肝臓と腰痛(筋膜のつながり)
肝臓は横隔膜の直下(右側)にあり、筋膜により吊るされているように存在しています。また横隔膜と大腰筋(腰骨と脚をつなぐ筋肉)には強い連結があるので、肝臓が硬くなると、肝臓 → 横隔膜 → 大腰筋 → 腰骨 と筋膜の繋がりで腰骨まで引っ張り、腰痛を引き起こすことがあります。
肝臓と肩こり・肩関節周囲炎(神経のつながり)
筋肉に指令を出しているのは脊髄から出ている神経ですが、内臓も同じように神経によって働きをコントロールされています(自律神経)。肝臓に指令を出している神経と、右肩周辺の筋肉に指令を出している神経の脊髄レベルに重なりがあるので、神経系を通して肝臓と右肩周りの筋肉がお互いに影響を与え合っています。これを内臓体性反射(体性内臓反射)と呼びます。
それ以外の体の部位でも、、、
腰や肩以外の体の部位でも、肝臓の負担や肝臓の周りにある筋膜組織の緊張が原因となって痛みが生じていたと考えられることが臨床的には多く見られます。例えば、肝臓周囲の筋膜をリリースしたことで、背中の痛みや骨盤痛、膝の痛みが緩和・消失することが度々あり、肝臓は筋膜や神経のつながりを超えて、からだの他の部位とのネットワークを多く持つ非常に重要な臓器であると考えられます。
肝臓と感情(怒り)の関係
心身相関という言葉があるように、心と体は影響を与え合っています。(精神的なストレスや緊張を感じた時、心臓の拍動が速くなったり、お腹が痛くなったりした覚えがあると思います)。オステオパシーでは、感情や心理は特に内臓に関連し、肝臓は「怒り」の感情・心理と強い関係があると考えています。そのため、日常的に怒りのストレスパターンがある方を診た時、肝臓が疲弊している方が非常に多いです。一例として、肝臓と怒りの関係を象徴するクライアントの方の話しをご紹介したいと思います。
その方は日本料理の板前の方で、職人である気構えと自負を持っていました。自分の仕事に誇りを持っていることは素晴らしいことであると思います。しかし、その方には「人は何かに突出していないといけない」という強い思いがあり、仕事場の同僚にはもちろんのこと、関わる全ての人に、プロ意識のようなものを求める所がありました。施術の度に、仕事関係の人への不満やニュースで流れる世間の問題に対して怒りを示し、時には顔を赤らめて怒りを表すことも度々ありました。
オステオパシーの評価では、私の手は毎回肝臓に引きよせられます。そしてその方の訴えはいつも両肩の痛みと急性腰痛です(肩の痛み、腰痛と肝臓の関係は上記しています。)オステオパシーの施術で痛みは解消しますが、毎年冬頃になると同じ痛みが再燃することを数年繰り返しています。
料理人という職業もあり、栄養バランスや食品添加物に細心の注意を払って食事をされています。おそらく栄養の観点からは、肝臓の健康に申し分のない生活です。にもかかわらず肝臓は疲弊し、痛みという身体症状が起きています。感情・心理が体に及ぼす影響の強さをこのクライアントの方から感じます。そして、この方にとって最善の治療は、自分自身にも、他人に対しても許容すること。「こうあるべき」「こうでなければならない」という思いが作る縛りを解いていくことだと思います。
興味深いことですが、怒りによって肝臓に負担がかかり、肝臓の組織が硬くなる方はほぼ女性です。そのために肝臓は「女性の臓器」と呼ばれています。(男性では、肝臓の代わりに肝臓の裏にある「胆のう」で怒りの感情を代謝する傾向にあります。)
オステオパシー 内臓マニピュレーション(内臓調整)
オステオパシーで行う内臓調整は、内臓自体というよりも、その内臓の周りにある膜組織に働きかけ、内臓の柔軟性や位置を整える優しい手技です。
肝臓で言えば、横隔膜とのつながり(三角間膜)、胃とのつながり(肝胃間膜)、腎臓とのつながり(肝腎間膜)、大腸とのつながり(肝結腸間膜)、臍とのつながり(肝鎌状間膜、肝円索)など様々な膜組織があり、周囲の器官との関係の中で働いている肝臓の状態を膜組織から整え、肝臓が持つ働き(デトックス、代謝、胆汁の産生など)を高めていきます。
肝腎症候群(HRS)と呼ばれているように、腎臓と肝臓は密接に関わり、肝臓の状態を考えた時には一緒に腎臓のコンデションにも目を向ける必要があります。腎臓のケアに関して考えた記事も書いていますので、ご興味のある方はぜひ読んでみて下さい。
この記事を書いた施術者
関屋オステオパシー 代表
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
案内動画はこちら
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