オステオパシー

【オステオパシーの語源】解釈による手技の拡がり~頭蓋仙骨療法、内臓マニピュレーションなど~

お知らせ

はじめに 

HPの中で何度か記していますが、オステオパシーは手技療法であり、哲学(考え方)です。そのため様々な技術が考案され、一言で「オステオパシー」と言っても、施術者によって行っている手技は大きく異なる場合があります。

私が前に受けたのは「動」のオステオパシーで、先生のは「静」のオステオパシーね。

これは、昔オステオパシーを受けた事があるという方に施術する機会があり、その方から頂いた言葉です。同じオステオパシーでも「動」と「静」という反対の言葉で表されるほど、受け手の体感としては違う事が印象的でした。

オステオパシーの語源について

なぜオステオパシーには様々な手技が考案されたのか。冒頭でも述べたように、創始者アンドリュー・テイラー・スティル(以下、A・T スティル)が、単なる徒手技術としてではなく、一つの哲学(考え方)として捉えていた事が一つの理由です。それに加えて、アメリカから発祥したオステオパシーが諸外国に拡がっていく過程で「オステオパシー」という言葉を訳した時、言語による解釈の違いが生まれた。という話をあるオステオパスから聞きました。

  • オステオパスとは、オステオパシーの施術者のこと

オステオパシーの定義

オステオパシーはギリシア語のOsteon(骨)とPathos(病理、治療)の2つを語源とする。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

英語訳でOsteon=骨、Pathos=病理、治療。直訳すると「骨の治療」という事になります。そのため、日本ではオステオパシーを「整骨医学」と訳していた事もあり、オステオパシーの創始者アンドリュー・テイラー・スティル(以下、A・T スティル)自身が「電光石火の整骨医」とも呼ばれていました。

【大腿骨を眺めるA・T スティル】

あるオステオパスの話

オステオパシーでは「構造を正し、開放する事で、体液(血液、リンパ、脳脊髄液)の流れを良くする」と考える。この構造とは骨、関節であると言う人がいる。A・T スティルも骨・関節に対して深い敬意を払っていたが、スティルが言っている構造とは筋膜(Fascia)の事である。
この違いは「Osteon」と「Pathos」を英語訳した事から始まった。この二つとはギリシア語。「Osteon」はギリシア語で「生きている構造体」という意味になる。そして、生きている構造体に共通する要素は筋膜(Fascia)。
「Osteon」を英語で訳したイギリスのオステオパスは構造を「骨」と捉え、オステオパシーを骨・関節を中心に考える。それに対してアメリカやフランスでは構造=「筋膜」と捉え、筋膜の連続性を考慮して施術を行う。筋膜(Fascia)が形を作り、動きという機能を持っていると考えている。

根幹となる考え方として、イギリスでは特に骨・関節の配列や位置関係を大切に考え、アメリカやフランスのオステオパスは筋膜の連続性を踏まえた施術を行う。この違いは、セミナーを受けていても感じます。もちろん、イギリスのオステオパスが骨・関節の手技だけを行うわけではないと思います。高名なイギリスのオステオパスの先生は、骨・関節だけではなく、筋膜や脈管などに対する様々な手技を使い分けて施術していました。
また、特にフランス人のオステオパスは見たこともない筋膜の解剖図を見せてくれたり、真新しい筋膜の情報を知っていたりするので、フランスは筋膜(ファシア)に関する研究が他国よりも進んでいる事を感じます。

オステオパシーには様々な手技がある

例えば、「膝関節を正しい位置に整える」という目的で施術する場合、膝関節自体にしっかりした圧で触れて大きく動かしながら矯正していく方法もあれば、触れているくらいの優しいコンタクトで周りの筋膜を整え、関節の位置を修正する方法もあります。また膝関節から遠く離れた体の部位(例えば頭蓋骨や手)から膝関節に働きかける事もできます(筋膜を含めて体が持っている様々な繋がり、連続性を利用します)
施術者がどのような手技を行うのか。施術を受ける方の体の状態で手技を使い分けている面もありますが、誰からオステオパシーを学び、どのようなバックグラウンドを持って施術に当たっているかで、選択する手技は変わってくると思います。

オステオパシー手技の一例
・カウンター・ストレイン
・靭帯性関節性ストレイン・・・比較的に強い力で行う
・筋エネルギーテクニック
・内臓マニピュレーション・・・内臓を調整する技術
・筋膜リリース
・メカニカル・リンク
・高速低振幅テクニック・・・一般的にスラストと呼ばれる
・ファンクショナルテクニック
・バイオダイナミクス
・頭蓋領域のオステオパシー・・・頭蓋仙骨療法、クラニオセイクラルセラピー(CST)など

おわりに オステオパシーの施術を受ける時に

一言で「オステオパシー」と言っても施術方法は様々です。骨・関節の技術なのか、筋膜を重視しているのか、エネルギー的な要素があるのかで、受けている体感は違いますし、身体との相性もあります。オステオパシーの施術を受ける時には、「その施術者の方がどのようなオステオパシーを行うのか」をHPやブログを見ておく事で、違和感なくより自然に施術を受けることが出来ると思います。
ちなみに私は、筋膜や様々な体の繋がりを重要視した施術を行っています。正に「静のオステオパシー」と思いますので、そのようなオステオパシーにご興味のある方はぜひ、施術を受けてみて下さい。

この記事を書いた施術者

 

関屋オステオパシー 代表 
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
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施術者紹介

関屋淳

2011年より、理学療法士として総合病院に5年間勤務。その後、5年間訪問看護ステーションに勤務し、延べ10000回以上のリハビリを実施しています。その間、オステオパシーの施術を2000回以上実施しています。

『自分と患者さん両方の体と心を豊かに。そして、その豊かさが周囲の人たちに拡がっていくように』そのような施術を目指しています。

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