オステオパシー

トラウマとオステオパシー【トラウマを記憶する横隔膜へのアプローチ】

お知らせ

『身体はトラウマを記録する』

過去の出来事や現在抱えている心理的な問題が、からだに現れている症状と関連しているのではないか?オステオパシーの施術を通して、そのように感じることは少なくありません。

体とトラウマの関係を知りたくて、トラウマやPTSDに関する書籍を多く読んでいる時期がありました。その中でも、ヴァン・デア・コーク博士が書かれた『身体はトラウマを記録する』は強く印象に残っている一冊です。

トラウマを抱えた方々の体験に衝撃を受けるのと同時に、自分自身もトラウマを持っていることに気付きました。トラウマは「心的外傷」とも呼ばれていますが、外傷とまで言わなくても小さなトラウマであれば、無意識の中で誰でも経験があり、身近にあるものです。(成長する過程で伴ったネガティブな感情も生きずらさや体の不調の原因になってると考えられ、発達性トラウマと呼ばれています)

またトラウマは、記憶として体に緊張を残すため、オステオパシーを含めてボディイワークは、トラウマを癒す可能性を秘めています。

トラウマを記憶する横隔膜

ヴァン・デア・コーク博士は、「トラウマは修正可能なもので、心だけではなく脳や身体に存在している。」と説いています。この点が、一般的な心理療法で考えるトラウマとヴァン・デア・コーク博士が捉えているトラウマの大きな違いであると思います。
オステオパシーでもヴァン・デア・コーク博士と同じく、体のあらゆる筋膜(※)に心理的な問題が蓄積されると考えていますが、特に呼吸を司る「横隔膜」で多くのトラウマを記憶していると言われています。

※オステオパシー哲学で考える筋膜は、筋肉を包む筋膜だけでなく、あらゆる臓器に関わる膜組織をさしています(例えば、心臓を包む心膜、脳・脊髄を覆う硬膜など)

心理的にショックを受けた時、呼吸が一瞬止まる

心理的にショックを受けた出来事は、そのショックの大きさは違くても人生の中で誰でも一度は経験があると思います。その時一瞬、息は止まっていたのではないでしょうか。恐怖や驚きのために、瞬間的に息を止める事を「息を呑む」と表現しますが、その言葉のとおり心理的ショックを受けた時には体を護る反応として呼吸を止め、体を固める事を無意識に行います。ショックで息を止めたその瞬間、横隔膜の一部分が緊張し、その位置で固定され、動きの制限が作られます。時間が経過し、そのショックを受けた出来事を忘れたとしても、トラウマが作った横隔膜の固さは緊張のパターンとして、体に残り続けています。

私の体の中に残っているトラウマの一つは、10年前の東日本大震災の時の記憶です。被災地にいたわけではありませんが、津波に人々が流されていく映像を観た時、数十秒息が止まったことを今でも鮮明に覚えています。その時の記録は一生私の中に残ると思います。また、その時の映像を思い出すと私の横隔膜の一部分が緊張し、呼吸が浅くなることを感じます。

心理的なトラウマだけでなく、身体的なトラウマも同ように横隔膜に記憶される事があります。例えば交通事故や転倒、暴力を振るわれたとき、恐怖などの強い感情を伴った場合には、その時のトラウマが横隔膜に残されます。トラウマを伴う外傷の場合、横隔膜の緊張を解くオステオパシーの手技が有効です。横隔膜の緊張を解いておくことで呼吸が深くなり、損傷している組織の修復、治癒を円滑に進めることができます。

横隔膜の緊張が起こす体への影響

横隔膜はとても複雑な作りをしています。教科書的には横隔膜は筋肉の一つで、肋骨、胸骨、腰骨の骨についていますが、横隔膜を筋膜の連続としてみた時、そのつながりは多彩です。横隔膜の下には腎臓、胃、肝臓といった大切な内臓が位置し、それぞれが腎筋膜、胃横隔間膜、三角間膜という名前の膜組織で横隔膜とつながっています。また横隔膜の真上にある心臓は、心臓を包む線維性心膜を通して横隔膜と強く連続しています。

また、ドーム状の形をして体を横断するように拡がっている横隔膜の中を、主要な血管、神経、筋肉が多く通っています。大きくは大静脈孔(だいじょうみゃくこう)、食道裂孔(しょくどうれっこう)、大動脈裂孔(だいどうみゃくこう)という穴が開き、それぞれ下大静脈、食道と迷走神経、下行大動脈と胸管(人体最大のリンパ管)を通しています。また、腰骨と横隔膜の間を大腰筋、腰方形筋といった大きい筋肉が通り抜けています。

その複雑さのために、横隔膜の緊張パターンが体に与える影響は小さくありません。呼吸だけではなく、内臓の働きや血液・リンパ循環、筋骨格に影響を及ぼします。個人的にはオステオパシーの施術で横隔膜の緊張が解かれると「脚が軽くなる」という感覚を得られる方が多い印象を受けています。

おわりに

前述したようにトラウマは身近にあるもので、小さなトラウマであれば誰もが経験し、現在に至っていると思います。またそれは、無意識の中で体や心の在り方に影響しています。オステオパシーの施術は、直接トラウマにアプローチするものではありません。しかし、トラウマの記憶として身体に残っている横隔膜や他の組織の緊張を和らげることは、過去のトラウマに対する捉え方や現在の物事の考え方の方向を変えるきっかけになると思います。

自分自身と当てはまるように感じる方がおりましたら、ぜひご連絡下さい。

この記事を書いた施術者

 

関屋オステオパシー 代表 
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
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施術者紹介

関屋淳

2011年より、理学療法士として総合病院に5年間勤務。その後、5年間訪問看護ステーションに勤務し、延べ10000回以上のリハビリを実施しています。その間、オステオパシーの施術を2000回以上実施しています。

『自分と患者さん両方の体と心を豊かに。そして、その豊かさが周囲の人たちに拡がっていくように』そのような施術を目指しています。

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