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目次
はじめに
新しい自律神経の考え方である『ポリヴェーガル理論』を勉強しています。この理論を知った時、オステオパシーの施術に限らずに「人と関わる」という事の奥深さを改めて考えました。ポリヴェーガル理論は日本語で「多重迷走神経理論」と訳され、名前の通りとても複雑な考え方ですが、シンプルに理解を深めたいと思っているので、出来るだけ分かりやすく記事にしたいと思います。
一般的に考えられている自律神経の働き
まず一般的に考えられている自律神経について。
自律神経には、大きく分けて交感神経(こうかんしんけい)と副交感神経(ふくこうかんしんけい)の2種類の神経があり、環境の変化に合わせて2種類の神経系がシーソーのようにバランスをとりながら働くことで、血圧や心拍数、筋肉の収縮、体温の調節、発汗量、胃腸の活動など基本的に無意識の中で行われている身体の働きを調節しています。交感神経が活性化されると活動的になり、副交感神経が活性化されるとリラックスするため、社会生活に参加する上でそのバランスがとても大切で、日中の活動時とや夜間の就寝時にはその優位性が入れ替わり、生命活動の一日のサイクルを支えているとされています。
ポリヴェーガル理論とは?
一般的な自律神経の捉え方に対し、ポリヴェーガル理論では副交感神経の中で最も重要な迷走神経を「腹側迷走神経(ふくそくめいそうしんけい)」と「背側迷走神経(はいそくめいそうしんけい)」の2つに分けて、そこに「交感神経」を加えた3種類の神経の働きで自律神経系を作り、身体の調節(胃腸の働き、血液循環、体温調節など)を行うと捉えています。
- 「交感神経」
主に活動するときに使われる神経系。何か「危険」を感じた時に「戦うか / 逃げるか」を選択し行動するように働く。 - 「背側迷走神経」
背側迷走神経は、胃腸の消化吸収や呼吸、心臓の働きなどに関わっている。また生命の危機を感じた時、身を守るために「凍りつく」という選択をするように働く。凍りついている状態では、身体が思うように動かないので「交感神経」が働いた時のように戦う、もしくは逃げる事が出来ない。この状態はトラウマと関係があるとされている - 「腹側迷走神経」
人と人とがつながり、社会的な交流を司る神経(社会神経系)。他者との関りを通して安心や安全、絆を感じた時に活性化するとされ、「リラックス」や「休息」と関りが深い。
※実際は、他の脳神経と共に働くために正式には腹側迷走神経複合体
また、ポリヴェーガル理論では「腹側迷走神経」の優位性、重要性について以下のように述べています。
- 「腹側迷走神経」が健全に機能している状態では、例え誰かから敵対的な態度や発言をされても、容易に「交感神経」にコントロールを奪われ、戦うか / 逃げるかの行動に走ることは稀で、社会的な行動を取る事が出来る。
- 「腹側迷走神経」の働きが良い場合には、「背側迷走神経」もよく機能している。自律神経系全体が整い血圧や心拍数、筋肉の収縮、体温の調節、発汗量、胃腸の活動など基本的に無意識の中で行われている身体の調節が上手くいくので、全身状態が良好になりやすい。
ポリヴェーガル理論とオステオパシー
ポリヴェーガル理論では、人と人とのつながりが自律神経系を健全にすると捉えています。他者との関りを通して働く「腹側迷走神経」が良好に機能している時、社会生活を円滑にし、心理的・身体的なストレスを抱えにくい状態を作る事が出来る。またつながりの中で感じる「安心である」という感覚は幸福感にも通じているそうです。
ポリヴェーガル理論をオステオパシーの施術と照らし合せて考えた時、人と人とが深く関わる「療法」や「セラピー」に強い可能性を感じると共に、施術者自身が「どのような在り方でいるのか」という事の重要性を改めて考えました。施術の効果として現れるリラックスや体と心の休息は、「ふれる」という事で起きる施術者と施術を受けている方のとの関り・コミュニケーションによって得られる部分が多くあり、「腹側迷走神経」の働きとの関係が大きいと考えられます。
今後、オステパシーの施術において重要なポイントである「ふれる」という事について記事にしたいと思っています。
この記事を書いた施術者
関屋オステオパシー 代表
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
案内動画はこちら
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