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目次
はじめに
「健康」を維持する目的でウォーキングやジョギング、サイクリングを行っている方は多いと思います。運動の中心になる体の器官は筋肉です。筋肉の性質を知る事は運動の効果をより高め、また目的によって運動の内容や方法も変わってくると思います。今回は、筋肉が持つ生理的な性質をご紹介します。
筋肉の繊維には種類がある『遅筋繊維と速筋繊維』
筋肉は、一つの塊になって存在しているわけではなく、「筋繊維」という糸状の細長い線維が束になり作られています。筋繊維の種類は、遅筋繊維と速筋繊維とに別れ、筋肉により2つの繊維が含まれる割合が異なります。
基本的に、ハムストリングスや大腿四頭筋など面積が大きく体の表面にある筋肉には速筋繊維が多く含まれ、体の奥深い所で関節を安定させる小さい筋肉(インナーマッスル)には遅筋繊維が多いと言われています。
遅筋繊維の特徴
「遅筋繊維」というの名前の通り、筋繊維が働く速度が遅いため、ゆっくりとした長い時間行う運動に適しています。遅筋繊維はミオグロビンというタンパク質を多く含み、赤い色をしているために別名「赤筋」とも呼ばれ、マグロなど長い距離を泳ぎ続ける魚では、赤筋が多くの割合を占めています(いわゆる赤身)。マラソンのように持久力を必要とする運動には遅筋繊維が重要になります。エネルギー源としては酸素を多く使うので、ウォーキングや水泳などの有酸素運動が遅筋繊維を鍛える運動として適しています。
また遅筋繊維を意識的に鍛えるのであれば、強い強度の運動ではなく「低負荷・高頻度」の運動が推奨されてます。例えば、フルスクワットを10回行うのではなく、負荷量を下げたハーフスクワットをゆっくり20回行う方が遅筋繊維を優先して鍛える事ができます。
「体力(持久力)をつけたい」「疲労しにくい身体を作りたい」という目的で運動するならば、遅筋繊維を意識的に鍛える事が大切になります。
速筋繊維の特徴
「速筋繊維」というの名前の通り、筋繊維が働く速度が速いため、一瞬で大きな力を出すような瞬発的な運動に的しています。速筋繊維は、ミオグロビンの量が少ないために白い色をしていて、別名「白筋」と呼ばれています。魚で考えると、長い距離を泳がない近海魚であるヒラメやタイは、白筋繊維の割合が多くなっています(白身魚)
速筋繊維のエネルギー源は主に糖質です。糖質をエネルギーとして使用する過程で「乳酸」が作られるので、速筋繊維は疲労しすやすい筋繊維と考えられてきました。しかし、最近の研究では「乳酸」が遅筋繊維の中に存在するミトコンドリアの新たなエネルギー源になり、筋持久力を高める役割をする事が分かってきています。また筋肉量は年齢と共に減少していきますが、40代以降では特に速筋繊維の減少が顕著だと言われています。普段の生活の中で瞬発的な動きを必要としない場合でも、体力(持久力)を維持し、全体的な筋肉量を維持するためには速筋繊維を意識した運動も合わせて行う事が大切です。
速筋繊維を運動の中で使うポイントは、速いスピードと強い負荷です。機器を使った「筋力トレーニング」は速筋繊維を鍛える事に適しています。機器を使わずに、日常生活で速筋繊維を鍛える方法としては、階段の昇り降りを意識的に行う事が推奨されています
使えば強くなり、使わなければ衰える『過負荷の法則』
筋肉も身体の他の器官と同じように、加えられた力、負荷に対応して、形や強度を変化させます。運動量が減ると筋肉は「萎縮」し、トレーニングなどによって積極的に使われた筋肉は「肥大」する。これを過負荷の法則と呼びます。
怪我や病気でベットに寝ている時間が長くなり、体を動かす機会が減少した時、特に遅筋繊維で、筋肉が萎縮する速度が早いと言われています。
そのような時、なるべく早期から運動を再開する事が重要になります。特に「遅筋繊維」を意識した運動、つまり低負荷・高頻度で、しっかりと呼吸しながら運動を行う事で、筋肉の萎縮を最小限に留める事ができます。また遅筋繊維は姿勢を保つ為の筋肉(姿勢保持筋)に多く含まれているので、座る・立つなど重力が身体にかかる姿勢を早期から取る事も重要になります。
また、マラソンやスキーなど持久的なトレーニングを継続すると、速筋繊維が遅筋繊維に変化していくと言われ、筋肉は環境に応じて自らの性質を変化させる力を持っています。
ストレッチ、準備運動の大切さ『筋肉と筋膜の関係』
身体の中には600個以上の筋肉があり、片方の前腕(手首と肘の間の部分)だけで考えても、16個もの筋肉が密接して収められています。筋肉と筋肉の間に存在する「筋膜」は、隣り合う筋肉の滑り合いを作り、筋肉同士が密接している身体の中の狭い空間でも、筋肉が効率的に収縮できる環境を作り出しています。体で行う全ての動きにおいて、関節や筋肉をスムーズに動かすためには、筋膜を介して筋肉同士が滑り合っている事が必要になります。
筋肉の滑り合いを作る事を意識して、ストレッチや準備運動を行うと、普段行っているストレッチとまた違う効果があると思います。
この記事を書いた施術者
関屋オステオパシー 代表
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
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