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※記事の中にアレルギーに関わる記述があります。アナフィラキシーなど強いアレルギー反応が出る場合、自己判断はせずに専門家の判断を仰いでください。
目次
はじめに
牛乳や乳製品は、オステオパシーを学び始めた10年前から、オステオパシーの施術を受けている方に対して、摂り方に気を配るように伝えている食品の一つです。牛乳(乳製品)にはカルシウムだけではなく、タンパク質やミネラルが含まれ、健康維持に大切な役割を果たしているとされる一方で、『日本人の体には牛乳や乳製品は合っていない』という意見もあり、賛否があります。少しWeb上で調べてみましたが、10年たった今も諸説ある状況に変わりはないようです。
牛乳が体に合っているか否かは、個人の体質に寄る所が大きいので、牛乳や乳製品が日本人の体に合っているか否かではなく、自分自身の体質に牛乳が合っているかどうかを大切にすべきだと個人的な見解として考えています。賛否ある内容ですが、牛乳や乳製品を摂る際の参考にして頂けたらと思います。
日本人の体質に、牛乳は合っていない可能性がある
乳糖不耐症とリーキーガット症候群
牛乳や乳製品には「乳糖(ラクトース)」という糖成分が含まれています。ラクトースは小腸で作られる消化酵素(ラクターゼ)によって分解されますが、アジア人種の85%以上はそのラクターゼを持っていないと言われています。これが日本人の体には牛乳が合わないと言われる一つの理由です。(反対に白人種では、85%がラクターゼを持っているそうです。)
消化されなかった「ラクトース」は腸の中で腐敗と腸粘膜の炎症を引き起こし、
消化不良・腹部不快、下痢、腹痛などの症状を招きます。また腸の中で慢性的な炎症が続くと、腸の粘膜が損傷し、腸壁に穴が空きます。そして通常、腸を通過すべきではない物質(細菌・ウイルス・たんぱく質など)が腸に空いた穴から血液中に流れ込み、様々な症状を起こす原因になると言われています。これを「リーキーガット症候群」と呼びます。
リーキーガット症候群で起こる症状の一例
- 肥満、腹痛、頭痛、アレルギー症状(花粉症、食物アレルギー、喘息、アトピー)、精神疾患(うつ、統合失調症)、自閉症、慢性疼痛、過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎など腸の疾患など
牛乳とアレルギー
牛乳に含まれているタンパク質の内、「α-カゼイン」というタンパク質が全体の約40%を占めています。そのα-カゼインを消化できるのは牛であり、私たち人間はそれを消化できる酵素を持っていません。消化できなかったα-カゼインはアレルゲンになり、リーキーガット症候群と共に遅延型アレルギーを引き起こすとされています。
牛乳や乳製品を摂ることを辞めてから、アトピーや花粉症が解消した。という話を直に聞く事があります。牛乳を常飲する習慣があり、アレルギーでお悩みの方は、一度牛乳を控えて様子を見てみる価値があると思います。
オステオパシーの観点から見た牛乳
ラクトースが分解されずに腸に蓄積されると、腐敗と炎症が起こるので、体質的に牛乳が合わなければ、過剰に摂取する事で腸の組織が固くなっていきます。腸は「腸管膜」という膜組織で腰骨や骨盤と繋がりがあるため、腸の固さは連鎖的に腰骨や骨盤の動きを制限し「腰痛」「ぎっくり腰」「椎間板ヘルニア」など腰部疾患の原因となっている場合があります。オステオパシーの内臓調整(内臓マニピュレーション)では小腸や大腸、腸間膜の柔軟性を回復させますが、牛乳や乳製品が体質的に合っていないならば、それらを避ける事も根本的な改善には必要になる事があります。
大切な事は、自分自身に牛乳が合っているかどうか
それでは、全ての日本人が牛乳や乳製品を事を控えるべきかと言えば、そうではないと思います。オステオパシーの施術をしてきた方の中に、牛乳・乳製品を摂る事を辞めてから花粉症や腹部の不調が改善した方は確かにいました。しかし、コップ一杯の牛乳を毎日飲み続けていた方でも、腹部や腰部に硬さはなく、反対に牛乳がエネルギー源になり、全身の組織に活力を与えている。そのような方も同時にいらっしゃいました。
大切な事は、自分自身の体質に牛乳が合っているかどうかを見極めることだと考えています。自分の体質と牛乳との関係を判断する上での方法を1つご紹介したいと思います。
【体と対話する】牛乳を飲んだ後の体の感覚を感じる
牛乳や乳製品が体質的に合っているかを知るためには、少量から体に摂り入れてみる。そしてその後、自分の体の反応、状態を観察してみて下さい。活力が沸く感覚があるのか、反対に体が重く感じるのか、芯が通って体が安定する感じがするのか、身体が歪んで不安定な感覚があるのかなど、感じる体の感覚は人それぞれだと思います。その食品を摂った時と摂らなかった時の体の状態をを比べてみることや、産地やメーカーを変えてみるなど、様々なパターンで試してみると、自分の体質と牛乳や乳製品との関係を判断する基準になり、自分に合った牛乳の摂り方を見つけるヒントになると思います。
私自身の体験としては、量を変えてみる事で体の反応や状態に違いがある事を感じています。例えば、一日にコップ3杯までの牛乳の量ならば、牛乳がエネルギー源になり活力が沸く感覚がありますが、牛乳の量がコップ4杯目になると、胃腸の不快感があり、体が重くなります。私の体が消化吸収できる牛乳の量はコップ3杯までで、それ以上の量の牛乳を摂る事は私の体にとってマイナスに働くと判断しています。
牛乳以外(白砂糖、白米、パンなど)でも
代替医療に関心がある方の中には、白砂糖、白米、食パンなど精製された食品は摂るべきではないとの意見を持っている方がいます。私自身、体調を崩した時期にはグルテンフリーや玄米を取り入れていた時期があり、その都度自分の体の反応や状態を観察していました。特に玄米に関しては、精米(3分づき、5分づき、7分づき)を変えて一定期間食べ続けていましたが、玄米と分づき米では消化不良が起こるので、結局の所、私の体には白米の状態が合っている事が分かりました。砂糖に関しても、白砂糖、黒糖、きび糖、三温糖など様々な種類を試した中で、きび糖が自分の体質に合っていると判断する事ができました。
牛乳以外にも賛否ある食物は多くあると思います。自分の体の反応や状態を観察して、ぜひ自分にとって体質に合う食品を見つけてみて下さい。
乳製品と成長ホルモン剤(rBST)
アメリカでは「乳牛」として飼育されている牛の20%〜30%に遺伝子組み換え牛成長ホルモン(以下、rBST)が投与されていると言われています。rBSTを投与する事で、搾乳できる乳量が増え、期間を長くする事ができるからです。
しかし、投与された乳牛と、その牛乳を飲んだ人間に癌などの副作用が起こる可能性があることから投与を認可していない国も多く、日本ではrBGHの使用が基本的に禁止されています。(繁殖のための調整や、乳牛の治療を目的としてrBGHを使用する事は認可されているという情報はあります)
現在、日本では牛乳は全て国産なので、国内で牛乳を飲むことでrBGHが体内に入る事は基本的にはないと考えられます。しかし、rBGHのラベル表示は義務付けされてないため、輸入されたチーズやヨーグルトなどの乳製品や牛肉からはrBGHを摂り入れてしまう可能性は大いにあります。乳製品を選ぶ際には、国産の製品を選んだ方が安全と思われます。
この記事を書いた施術者
関屋オステオパシー 代表
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
案内動画はこちら
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