お問い合せ・予約
Facebook
Instagram

オステオパシー

片麻痺(脳梗塞・脳出血)に対するオステオパシーの可能性【筋膜により全身を診る視点 / 神経に働きかける頭蓋仙骨療法】

脳卒中(脳梗塞・脳出血)片麻痺の改善について、15年ほどリハビリの現場で働いてきた私が、これまでの経験とオステオパシーの施術を通して感じていることを書いています。

私はこれまで、理学療法士として多くの脳卒中(脳梗塞・脳出血)の方のリハビリに関わってきました。関節可動域訓練、ストレッチ、筋力訓練、麻痺側への荷重訓練、立ち上がりや歩行などの動作練習。こうした一般的なリハビリは、片麻痺の方の身体機能や日常生活を支えるうえで大切なものです。

一方で、長くリハビリの現場にいる中で、「これだけでは片麻痺の方の改善には限界があるのではないか」と感じる場面が多くありました。特に一般的な片麻痺の回復期(発症から3~6カ月)が終わり、それ以降の維持期という期間に入った方の動作や身体機能をリハビリで向上することは非常に難しく、無力感にさいなまれることが度々ありました。

私が今、可能性を感じているのが、オステオパシーを片麻痺の方に応用して施術するという視点です。

片麻痺のリハビリでは「麻痺側」に目が向きやすい

脳卒中後の片麻痺の方へのリハビリでは、麻痺した手足をどう動かすか、どう荷重させるか、ということに重きが置かれます。私自身も、長くリハビリの現場にいたからこそ、こうした方法の重要性は感じています。ただ、オステオパシーを学び、身体の全体性として診るようになってから、このような疑問を持つようになりました。

「麻痺している手脚を中心にして片麻痺を診るのではなく、麻痺により動きが鈍くなっている手脚も体全体の一部として捉えた方がよいのではないか」

麻痺側のふくらはぎに筋膜リリースを施すと

ブルンストローム・ステージⅢ前後の片麻痺の方には、麻痺側の脚に伸展方向の共同運動(伸展パターン)や筋緊張の高まりがみられることがあります。

ブルーンストロームステージは、脳卒中後の片麻痺における運動機能の回復段階を評価するために用いられる指標です。ステージⅢでは、共同運動パターンが顕著に現れることが特徴とされています(Brunnstrom, 1970)

特に足関節周囲では、下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の過剰な緊張が起こり、歩行や立ち上がりなど各動作を行う上での円滑さを妨げる問題点になるケースが多いです。
そのような方にオステオパシーの手技、例えば筋膜リリースを行ったとき、施術したふくらはぎだけでなく、骨盤や胸郭、さらに麻痺側の腕にまで影響が及んだ感覚があり、その後触診すると全身的に緊張が緩んでいたり、ふくらはぎと遠い所にある関節(例えば非麻痺側の肩関節)の関節の動きが良くなっている事があります。

これは”ふくらはぎを緩めれば必ず全身が緩む”という意味ではなく、あくまで私が施術の中で観察している変化です。ただ、この経験から「ふくらはぎの緊張も、単に麻痺の影響によるふくらはぎだけの問題として考えないほうがいいのではないか」と考えるようになりました。

一般的な筋肉へのストレッチとオステオパシーで行う筋膜への施術は性質が異なります。オステオパシーの施術は体の中にある「膜」というものに着眼し、筋肉でいえば筋外膜、筋内膜、筋周膜といった膜組織の変化・変容を目的として施術を行います

※筋膜に関してはこちらで詳細に記事にしています。

身体はそれぞれの部分が独立しているわけではなく、姿勢や荷重、呼吸、体幹の状態、筋膜のつながり、運動の連鎖など、さまざまな要素が関係しています。
だからこそ”麻痺側の腕を動かすために腕を診る、歩行を改善するためにを見る”という片麻痺へのアプローチではなく、「体全身の状態から麻痺側を考える」という視点があってもいいのではないかと思っています。

神経に働きかける頭蓋仙骨療法

オステオパシーの中には、頭蓋仙骨療法という施術方法があります。私は、この施術方法を片麻痺の方に応用することで、神経系を含めた身体全体に何らかの働きかけができる可能性があるのではないかと考えています。

動きの中で麻痺側を促通する方法として、PNF(固有受容性神経筋促通法)やボバース概念など、神経・運動系への働きかけを重視したリハビリテーションの考え方もありますが、脳脊髄液の循環を促し、脳・神経系に直接働きかけるという意味で頭蓋仙骨療法には違った効果が期待できます。

※頭蓋仙骨療法療法に関してはこちら

ただし、現在の段階では頭蓋仙骨療法が片麻痺を改善すると確立されているわけではなく、「このような身体へのアプローチが、片麻痺の状態をより良くしたいという方にとって何か力になれるのではないか」という可能性です。
もし片麻痺があり現在の身体の状態を改善したいという方がいれば、ぜひ一度ご相談いただけたらと思っています。

オステオパシーの可能性

大切なことなのでもう一度書きますが、脳卒中(脳梗塞・脳出血)片麻痺の方にとって、現在の生活動作や身体状況を維持するためにリハビリを受けることは非常に重要です。リハビリにはリハビリの大きな役割があります。

この記事は、現在受けているリハビリをやめてオステオパシーを試してみて下さい、という想いで書いているわけではなく、リハビリをしっかり行い、その上で身体全体をみながら別の角度からアプローチしてみる。そのような選択肢の一つとして、オステオパシーを考えて頂けたら嬉しく思います。

長年培ってきたリハビリの経験と、現在行っているオステオパシーの施術を組み合わせることで、これまでとは違う形で片麻痺の方に貢献できるのではないか。そのような可能性を感じています。
まだ研究によって確立された方法としてお伝えすることはできませんが、それでも、目の前の身体を丁寧に観察し、「なぜここがこんなに緊張しているのだろう」と全身を診て、改善する可能性を持って施術することには意味があると思っています。

片麻痺について、今受けているリハビリや治療とは別の視点から身体を見てほしいという方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事を書いた施術者

 

関屋オステオパシー 代表 
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
案内動画はこちら

おすすめ記事一覧

オステオパシーの考え方

健康観

 

関連記事

施術者紹介

関屋淳

2011年より、理学療法士として総合病院に5年間勤務。その後、5年間訪問看護ステーションに勤務し、延べ10000回以上のリハビリを実施しています。その間、オステオパシーの施術を2000回以上実施しています。

『自分と患者さん両方の体と心を豊かに。そして、その豊かさが周囲の人たちに拡がっていくように』そのような施術を目指しています。

⇒ 詳しいプロフィールはこちら

おすすめ記事
特集記事