施術記録

【症例紹介】変形性股関節症、臼蓋形成不全、頭痛 / 50代 女性

お知らせ

変形性股関節症  50代 女性

症状

歩行時に両側の股関節が痛い。脚が重くなる。歩行時、左右に体が傾いてしまう。
緊張性頭痛(頭がしめつけられて重い)、肩こり、足のむくみ。

既往歴(今までの病歴)

変形性股関節症(レントゲンにて骨棘の形成が認められる)
臼蓋形成不全(股関節の受け皿が浅い)

施術の経過

初診時、股関節の痛みをかばうように、体を前にかがめ、左右に体を傾けるようにして歩かれていました(「デュシャンヌ歩行」と言って、変形性股関節症の方に多い歩き方)。また足だけではなく、頭や首、肩周りにも水分量が多く、むくみがある状況。

オステオパシーの触診により全身を診た所、脚全体の関節の位置関係が悪い。特に股関節で動脈・静脈の流れを止めてしまっていて、脚が冷えている。また頭蓋骨のシステムの動きが乏しく、身体全体の生命力が低下していました。オステオパシーでは、これを第一次呼吸メカニズム(身体が膨張と収縮を繰り返す循環・呼吸のメカニズム。肺呼吸とは別のリズムで存在している)と呼んでいます。第一次呼吸メカニズムが制限されていると、身体への外からの影響(身体的な外傷、精神的トラウマ、心理的ストレス、体質に合わない生活習慣、有害な化学物質や電磁波など)に対応できず、自然治癒力が適切に働きにくい状況に置かれます。

施術としては、まず脳や神経を包んでいる『硬膜』という膜組織の緊張を緩め、第一次呼吸メカニズムの働きを高める事で、身体全体の生命力の底上げを行う。特に頭部の硬膜組織である大脳鎌と小脳テントに強い緊張が見られ、その部分のリリースを行うと、呼吸の動きが活発になり、ご本人も頭の中が拡がっていく事を感じる。

第一次呼吸メカニズムの制限を解いた後は、他の身体の部位のバランスを調整する事が比較的容易になるので、その上で股関節を中心に膝関節、足首、足部が正しい位置関係に戻るように調整し、脚から心臓への循環を促すことを行いました。

施術直後、股関節の痛みと脚の重さが改善。その後、1週間に一度の間隔で施術し、4回目の施術終了時には股関節の痛みは消失。歩行時の体の傾きも完全ではないものの改善が見られていました。緊張性頭痛の症状も気が付いたらなくなっていたとの事。
臼蓋形成不全がある事で、股関節には今後もストレスがかかり続ける事が考えられ、長い距離を歩いた直後は股関節が痛くなることやご本人の希望もあり、その後は2カ月に一度の頻度で施術を行っています。

※オステオパシーの施術の効果には、個人差があります。

【解説】臼蓋形成不全について

臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)とは、先天的あるいは後天的に、骨盤側の受け皿が浅く、そのために股関節が不安定な状態であることを指します。とりわけ女性に多く、日本では変形性股関節症の約80%は臼蓋形成不全が原因である言われています。

臼蓋形成不全では、骨盤側の受け皿の浅さに対応するために、骨盤の前傾(前方に回転)と腰椎の過前湾(反り腰)、また大腿骨を内側に入れて支えようとするので、内股と偏平足のパターンをとる方が多く、腰痛や足底腱膜炎を合併する場合があります。上記の症例紹介の方のように、左右に体を傾けるようにする歩き方(デュシャンヌ歩行)も受け皿の浅さへの対応の一つです。

臼蓋形成不全の方のように、元々の骨格自体に正常さをも求める事が難しい場合には、骨格の配列の問題だけに囚われずに身体が持つ他のシステム、特に呼吸と循環の機能をいかに高めるかを念頭においてオステオパシーの施術を行っています。

この記事を書いた施術者

 

関屋オステオパシー 代表 
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
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施術者紹介

関屋淳

2011年より、理学療法士として総合病院に5年間勤務。その後、5年間訪問看護ステーションに勤務し、延べ10000回以上のリハビリを実施しています。その間、オステオパシーの施術を2000回以上実施しています。

『自分と患者さん両方の体と心を豊かに。そして、その豊かさが周囲の人たちに拡がっていくように』そのような施術を目指しています。

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