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目次
はじめに
オステオパシーの手技バイオダイナミクスでは、海と空の境にある「水平線」には、人の体を変化させる力がある。と考えています。
日々の生活で限界を感じ、自分の中にだけでは答えを見つける事が出来ないと感じた時、海辺から一面に広がる水平線を眺めることで、何かを乗り越え、前に進むきっかけを不思議と得ることができた。そんな経験があるのは私だけではないと思います。今回は、体を安定させ、心を落ち着きつかせる力を持つ水平線に関する記事です。
水平線を眺めると体が安定する?
人間の体は、遠くを見た方が安定するような体の作りをしています。車や自転車の運転をする際、目線を近くに落とすとフラフラと左右に偏りやすく、遠くに視線を合わせると、安定して運転する事ができます。また、実験的に行って頂けると分かりやすいですが、単に歩く、もしくは片足立ちをする時に、目線を近く落とすか、遠くを眺めるようにするかで安定性、バランスは大きく変わります。
これは、鼓膜の奥にある三半規管を含めた内耳の角度に寄る所が大きいと言われています。視線が遠くなる程、内耳の角度が平行に近づき、体は安定し、バランスを取りやすくなります。
フランスのオステオパシー施術者ベルナール・ダライアンは「視線を水平線に合わせる事によって、人間は安定する事ができる。体全体の関節が安定した状態になる」と言っています。私の場合、目線を近く落としながら右足で片足立ちをすると、股関節の所で体が傾きバランスが崩れますが、遠くを眺めるように行うと股関節が安定し、バランスが取りやすくなります。
「水平線」とは海と空の境です。水平線より下は地球、水平線よりも上は空、宇宙です。浜辺から水平線を眺めた時、おおよそ5km先を見ていると言われています。また、上の絵のように地球上で見る事のできる限界の距離に視線を合わせている事を意味し、それだけ内耳の角度が平行に近づき、体全体の関節が安定した状態になります。
「水平線」を日常に取り入れる
海辺に住んでいる方から、肉体的に精神的にも安定している印象を受けることが多いのは、水平線を眺める機会が圧倒的に多いからかもしれません。水平線に視線や合わせ、安定して暮らすためには、浜から海を実際に眺めることに越したことはないと思います。
それでは、水平線に視線を合わせるためには、海辺に住むか、もしくは頻繁に足を運ばなければいけないのか。と言えばそういうわけでもないと思います。
市街地に住む私は、パソコンのデスクトップやスマートフォンの待受けを水平線の画面に設定し、小さな水平線の絵を、家の廊下に飾っています。実際に海辺に行き、水平線に視線を合わせなくても、水平線に意識を合わせることで、同じように効果があることを私自身が体験しています。
自分の体や心が波が立つように不安定な時、身近にある水平線を眺めることで安定を取り戻していくように、体と心が修正されていく感覚があります。
水平線と繋がる瞑想法
水平線と意識を合わせる瞑想法があるので、ご紹介したいと思います。
楽な、くつろげる姿勢で座り、寄りかかれる背もたれがあれば、寄りかかって頂いた方が力が抜けて、楽に座れるかと思います。ぜひリラックスして行ってみて下さい。
目の前に広大な海が拡がっていることをイメージします。好きな海、印象に残っている海があれば、その海が良いと思います。(私はグアムのタモン湾で見た水平線をいつもイメージします)
海の上には水平線があります。水平線が広く、自分の視界全体に拡がっていることをイメージします。
目の前に拡がる水平線はどのように見えるでしょうか。
水平線が穏やかに拡がっているならば、眺めたまま待っています。
眺めたまま待っていると、気になる所が出てくるかもしれません。波が立っている、歪んでいる、傾いている、意識が引かれる、目の前に拡がる水平線にどのような印象を持ちますか?
気になる所が出てきても、ただただ水平線を眺めていて下さい。自分から修正しようとはせず、「波がたってるな」と思うだけで、水平線が落ち着くのをそっと待ちます。
水平線が穏やかさを取り戻したなら、また眺めたまま待っています。
再び気になる所がでてきたら、同じように水平線が落ち着いていくのをただ眺めながら待ちます。
この流れを繰り返します。
終わるタイミングは「心地よいな」「もう終わりで良いかな」と自身で思う所で終わりにして頂けたらと思います。
いかがだったでしょうか。水平線と意識を合わせることで、体や心の状態が安定する事を感じていただけたら幸いです。
最初は水平線をイメージすることが難しいかもしれませんが、繰り返し行うことで、水平線と意識を合わせることが容易になっていき、水平線を身近に感じるようになっていきます。
おわりに
最古の人類の痕跡はアメリカ大陸で見つかり、そこから多方向に拡がっていったと言われています。私たちの遠い遠い祖先は水平線の向こうから海を渡ってやってきました。また最初の生命は海の中で誕生し、進化と共に陸上に上がってきました。
水平線を眺めると、なぜ心と体が安定するのか。私たちの体の中には、今も海や水平線の記憶が残っていて、水平線を眺める事で自分自身の大元に一度立ち戻る事ができる。この記事を書いていてそのように思いました。また最近、妊娠中に子宮内で胎児をはぐくむ羊水と海水が同じ塩分濃度であるという神秘的な話を聞きました。
毎日が忙しく、自分自身の体や心や目を向ける時間がない方や、体と心を安定させて暮らしたい方はぜび、「水平線」を日常に取り入れてみて下さい。
【海におすすめ書籍】われらをめぐる海
「沈黙の春」や「センス・オブ・ワンダー」で有名なレイチェル・カースンの著書です。海に関しての膨大な情報と説が書かれていて決して簡単に読める書籍ではありませんが、大いなる海が持つ美しさや力強い情景が不思議と目の前に拡がる。そのような本だと思います。時間をかけてゆっくり読み進めたい一冊です。
この記事を書いた施術者
関屋オステオパシー 代表
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
案内動画はこちら
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