健康観

『頭寒足熱』の知恵【書籍:万病を治す冷えとり健康法】

お知らせ

年末恒例、本棚の断捨離にとりかかりましたが、数冊の本が目にとまり結局読書の時間になってしまいました。
その時に読んだ『万病を治す冷えとり健康法』には、「頭寒足熱」の状態を作るための知恵が散りばめられていて、学ぶことの多い書籍でした。冷えに悩む方だけではなく、寒い冬を快適に過ごすためにも良い内容でしたので、ところどころ引用しながらシェアしたいと思います。

頭寒足熱について~なぜ健康に良いとされているのか~

頭寒足熱(ずかんそくねつ)とは、呼んで字のごとく「頭は冷えていて、足は温かい状態であること」を指し、昔から健康に良いとされる体の状態です。なぜ頭寒足熱が健康に良いとされているのか?調べてみると諸説ありましたが、以前東洋医学を学ばれている先生から聞いた「足を温めて、頭を冷やすことで体の中で温度差を作り、体が持つ力を引きだしている」という考え方が私にとっては一番しっくりきています。頭寒足熱=自然治癒力が働きやすい状態とも言えると思います。実際に、頭寒足熱の状態を作ると血液循環だけでなく、食物の消化も良くなり、呼吸が深く、思考がクリアに感じます。

「温度差をつくる」ということがポイントで、その点を踏まえると応用が利きやすいと思います。

冷えとり健康法

ここからは引用が中心になります。

入浴

正しい入浴法の基本は、いつも胸から下だけをお湯につけるようにするということです。腕もつけてはいけません。そして、体温よりも少し高い程度の、37~38度のお湯に20~30分ゆっくりと入っているのです。するとだんだん体の芯から温まってきて、汗がでてきます。この方法だと湯ざめしません。

胸から下だけお湯につかるというのは、文字通り頭寒足熱の状態になるということです。慣れない人は、初めは上半身が寒いような気がしますが、まずは我慢してしばらくつかっていて下さい。時どき20~30秒間だけ肩までつかるのはさしつかえありません。そのうち確実に、体の芯から温まって気持ちよくなってきます。

お風呂からでたら、マットなど温かいものの上ですぐに靴下をはき、下半身はズボン下などを多めに身につけてください。上半身は初めは裸でもいいのです。ランニング一枚などにしておいて、時間がたって肌寒くなったら一枚ずつ増やしていくようにしてください。

「なるべく半身浴(腕や手をつけない)」「風呂上りはすぐに靴下をはく」「上半身はまずは薄着」これだけ意識するだけでも風呂あがりに体がポカポカして、血液循環の違いを感じます(私の場合は心拍数が上がります)

また、頭寒足熱の状態を保つ事が大切なので「すぐに水仕事はしない」「ドライヤーで髪を乾かすのは、少し肌寒くなってきてから」など工夫するとポカポカと気持ちが良い時間が長くとれると思います。

足湯

足湯は頭寒足熱の状態を作る代表だと思います。準備の手間はありますが効果は抜群なので、冷えが強い場合は昼間に足湯をすることは良く勧められます。

足湯をするには、バケツに気持ちのよいていどの、熱すぎないお湯を入れて、両足をつけるのです。30分も続けていると、体ぜんたいがポカポカと温かく、気持ちよくなってきます。

このとき、上半身はできるだけ薄着にしておいてください。また、大きなビニール袋(ごみ用の黒い大きなものなど)で、バケツごと足をスッポリ包むと、お湯がさめにくくなります。さめてきたら、少しずつ熱いお湯をたしてください。おしまいに熱い湯をたして何とかがまんできる程度にまで温度を上げて、7~8分間つけているともっと効果があります。

足湯でも上半身をやはり薄着にしていおくことが大切で、試してみると上半身を厚着にしたときと比べて、薄着にした方が体が温まる感覚があることが分かりました。

足湯用のバケツや温度調節できる足湯器も販売されていますが、本書で書かれている大きなビニールでバケツごと足を包む方法は、お試しで足湯を始めるのにとても良いと思いました(大きなバケツは100均でも手に入ります)

部屋

本書は20年以上前に書かれていますが、現在では常識になっている扇風機やサーキュレーターを使って部屋の空気を循環させる方法が記載されていました。

私たちはいつも空気のお風呂に入っているようなものです。冷房や暖房をすると、上のほうが温かく下の方が冷たくなります。これはお湯をかきまぜないでお風呂に入っているのと同じ状態です。頭寒足熱の原則とは逆になり、健康によくありません
一番簡単なのは、扇風機と冷房機を併用して部屋の空気をかきまぜることです。夏にクーラーを使っているときは、下の冷たい空気が上にいくように、冬にストーブを使っているときは上の温かい空気が下ににいくように、夏は下に向け冬は高い所に置いて上に向けて、首ふりにしながら扇風機を使うといいのです。
(中略)
よく冷房・暖房を使うとどうも気分がすぐれないという人がいますが、そういう人はとくに冷えが強い人で、上の方が暑くて下が寒い状態に敏感になっているのですから、部屋の空気をかきまぜることはとても大切です。

私は節電のためにサーキュレーターを使っていましたが、頭寒足熱の観点からもサーキュレーターには意味がありそうです。また暖房にエアコンを使っている場合、エアコンでは特に下に冷たい空気が溜まりやすいので、風向が下か斜め下に向くように設定すると良いと思います。(車中は特に足元が冷えやすいです)

衣服

冷えをとるには、頭を涼しく、足もとを温かくすることです。しかし、実際に街を歩く人の服装を見ていると、上半身ばかり厚着をして、下は薄いズボンかスカート一枚、足もとも露出度の多い靴をはいている、という人ばかりです。これとまったく逆の発想をしなければなりません。
(中略)
やってみれば、足もと・下半身が温かいと、上半身は余り寒くなくて薄着で平気でいられることが実際にわかります。

二番目は、体をしめつけるような服装は、いけないということです。
しめつけると、皮膚からの病毒の出口がふさがれるし、血管も圧迫されて循環も妨げられます。
ですから、衣服はつねに体と不即不離であることを心がけてください。体から3~5センチ離れて少しダブダブしている感じがいいのです。
(後略)
そうすると、体の動きによって、くっついたり、離れたりしますから、不即不離になります。
※不即不離・・・つきも離れもしない関係を保つこと。

ファッションの好みがあるので外出着に取り入れるのは難しい場合があると思いますが、家着だけでも頭寒足熱を意識することはお勧めです。私も就寝時にも靴下を履くようになってから冬場の足の冷えが楽になりました。来年には夏場にも靴下を履いてみて体の感覚を確かめてみようと画策しています。

二番目の「不即不離」は通気性とも関係があると思います。寒さを感じた時、筋肉を収縮させて熱を作る(ブルブル震える)ので、それで汗をかき体が冷えてしまう場合があります。風通しを良くして速乾させるためも冬場は特に不即不離は良いと思います。

三番目には、化繊よりも天然素材を身につけたほうが病毒の出方がスムーズになるとということです。化繊は病毒の排出をおさえるので、皮下で病毒がたまって炎症になります。一般には、これを「化繊にかぶれた」といいます。衣服でも食べるものでもあまり化学的なもの、加工度の高いものはよくないということなのですが、これはふだん事実として体感することができます。

足は体の毒がよくでる部位の一つですが、靴下でも化繊のものをはいていると、非常に具合が悪いのです。薄いはずなのにすぐ汗でベタベタする。これは体の毒が汗になってでているのですが、化繊はそれを通さないのですぐベタつくのです。それにくらべると。絹や木綿の靴下をはいたときはまず感触が温かいし、ベタベタになるまでの時間が長い。つまり絹や木綿は毒を吸いとってくれるのです。麻も同じです。

私はまだ本格的に衣服の線維まで実践できていませんが、強い冷えの症状には効果が期待できるかもしれません。本書には冷えとり靴下(4枚重ね)の方法やパターン別(婦人、サラリーマンなど)の衣服に関して、それ以外にも冷えと食事の関係について記載されていますので、ご興味のある方はぜひ読んでみて下さい。

万病を治す冷えとり健康法

オステオパシーで「頭寒足熱」

体の構造上、体を温める「動脈血(動脈を流れる血液)」が流れる経路のどこかで圧迫がおこっていれば、手や足に「冷え」が起こる可能性があります。例えば、股関節、膝関節の周りの筋膜や小腸や大腸などの内臓に硬さがあり、関節付近や腹部で動脈が圧迫されていれば、足への血液の流れは悪くなります。

全身を診て、原因となっている体の部位に施術するオステオパシーは、手技により血液循環を改善させ「頭寒足熱」の状態を作る方法です。体の「冷え」にお悩みの方はぜひオステオパシーの施術を受けてみて下さい。

この記事を書いた施術者

 

関屋オステオパシー 代表 
関屋 淳 (sekiya jun)
【施術実績 (累計)】
理学療法士としてリハビリを1万人以上
オステオパシーの施術を2000人以上
2児の父として子育て奮闘中
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施術者紹介

関屋淳

2011年より、理学療法士として総合病院に5年間勤務。その後、5年間訪問看護ステーションに勤務し、延べ10000回以上のリハビリを実施しています。その間、オステオパシーの施術を2000回以上実施しています。

『自分と患者さん両方の体と心を豊かに。そして、その豊かさが周囲の人たちに拡がっていくように』そのような施術を目指しています。

⇒ 詳しいプロフィールはこちら

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